地域に貢献する省エネ、エコ活動を推進する「紫波グリーンエネルギー株式会社」。IoT活用によるスマートファクトリー化で分単位で油量の測定を記録、大幅なコスト削減に成功。

IoTを活用したDX推進によって「課題の解決」「商品・サービスの開発」などを行う、「株式会社 コー・ワークス/IoT.Run」では、情報を取得・活用できるデバイス「Tibbo-Pi(ティーボパイ)」を販売やレンタルをしています。

今回、油量の測定と記録のため、Tibbo-Piを活用しているという、岩手県紫波町にある「紫波グリーンエネルギー株式会社」担当の菊池さんに、事業のことや活用に至るまでの経緯をお伺いいたしました。

既存の工場の仕組み・システムを大きく変えることなく、新しいビジネスを行うためのPoC(Proof of Concept:概念実証/実証実験)から本格的な事業化を行った事例です。

IoTデバイス「Tibbo-Pi」を利用頂き、コストを抑えてスマートファクトリー化を実現した事例でもあります。

―まず、紫波グリーンエネルギー株式会社についてご説明いただけますか。

代表の山口が親会社をつくり、そこから宮城の石巻市や気仙沼市などで、それぞれの地域の特性に合ったエネルギー事業を立ち上げました。地域エネルギー事業という、地域で身の丈に合ったエネルギー事業を推進していく取り組みになります。弊社は設立から8年が経ちますが、元々は岩手県紫波中央駅前の土地を、紫波町が先導して開発を行った「オガールプロジェクト」がきっかけとなります。紫波町内の森林から集めた木材を使って、地区へ熱を供給する循環型のエコシステムの開発のため、会社を立ち上げました。今では駅前に商業施設や庁舎、住宅などが建っていて、弊社が供給する熱が暮らしを支えています。

―紫波町における、地域エネルギー事業とはどんなものなのでしょうか。

メインの事業は2つあり、1つ目は紫波町中央駅前エネルギーステーション事業です。エネルギーステーションから「紫波型エコハウス」や「オガールベース」などに配管がつながっていて、熱供給ができるようになっています。建築材料として利用ができない、間伐材や松食虫の被害に合った木を農林公社さんに木質チップにしていただきます。そして、木質チップを燃料にしてエネルギーステーションで熱を作り、暖房・給湯・冷房として供給しています。

2つ目は紫波町内に「ラ・フランス温泉館」という温泉施設での事業です。源泉がぬるいので重油を焚いて温度を上げていたのですが、かなり費用がかかってしまうため、コスト削減をしつつ資源の有効活用をしたいと相談を受けました。木質チップを使った熱供給の他に、太陽光を利用した「太陽熱温水器」、捨てる低温のお湯を循環して熱をつくる「廃熱利用ヒートポンプ」、を使っています。電気も太陽光パネルを利用して自家発電をし、省エネに参画しています。

紫波町にあるエネルギーステーション

―菊池さんはどのようなお仕事を担当されているのでしょうか。

今、新規事業を立ち上げて、事業導入の交渉から経理のような仕事まで広く携わっています。新たに、電気と熱をつくる機械を導入することにしたのです。木質チップを蒸し焼きにすることでガスが発生し、ガスエンジンという装置に入れます。ガスエンジンを回すことで電気が発生すると同時に、高温の熱が発生する機械です。

電気は東北電力さんに売電し、熱は導入する施設で活用してもらいます。24時間電気や熱をつくり続けるので、紫波町や隣の花巻市の介護施設やデイサービスなど、日中にお風呂を利用するような施設への導入を検討していただいています。この事業でTibbo-Piを活用させていただいています。

―Tibbo-Piを活用するきっかけを教えてください。

まず、先程の機械を導入する施設で、「どのくらい熱を使っていて」、「どのくらい重油を消費しているか」を把握する必要があります。1日のだいたいの油量を把握はしていたのですが、24時間内での細かい分単位の油量を記録したいと考えました。油量を計るセンサーで取得したデータを記録できる、データ収集装置が販売されているのですが、見積もりを聞いたらかなり高額だったんです。

そんな時、たまたまIot.Run代表の淡路さんとお話する機会があり、課題解決できるのではないかとアドバイスをいただき、Tibbo-Piをレンタルすることになりました。以前から淡路さんとは顔見知りで、Tibbo-Piのことは知っていました。

配管に装着し、超音波で油量を計ることができるセンサー
センサーにTibbo-Piを装着し、分単位で自動的に油量の記録を行う

―先ほどの課題だった経費面は削減になりましたか?

数十万円の経費がかかる予定だったのですが、Tibbo-Piは購入しても十万円ほど。レンタルでも月額一万円内で収まるので、大幅な経費の削減になりました。

―レンタルであれば、導入コストを抑えてやリスク回避にもなるので、新規事業でのPoC(Proof of Concept:概念実証/実証実験)にもぴったりですね。
センサーへ導入するためのTibbo-Piの開発は、どなたがされたのでしょうか。

私がIot.Runの顧問である白田さんにアドバイスをもらいながら開発をしました。

―すごいですね! 菊池さんはプログラミングを勉強されていたんですか?

いえ、全然プログラミングのことは分からないんです(笑)それでも、「できそうだな」という感覚はありました。最初は教えてもらいながら、配線の接続やシステム開発をして、1〜2ヶ月くらいでデータを記録できるようになりました。

Tibbo-Piの紹介動画

―Tibbo-Piを検討している企業さんへ、おすすめポイントがあれば教えて下さい。

デフォルトの機能だけでなく、拡張して様々な機能をつなげられるところが良いと思います。あとは、できたときの喜びがあるので、担当の方が楽しみながら開発ができるのがおすすめです。

―今後の目標は何でしょうか。

新規事業を立ち上げた準備段階なので、軌道に乗れるようにがんばりたいです。地域に貢献することによって、他の地域でも導入が進み、省エネやエコ活動が推進できたら嬉しいです。

地域で発生した廃棄となる木材を活用した、地域エネルギー事業を推進する「紫波グリーンエネルギー株式会社」。岩手県では東日本大震災により、「省エネ」や「エコ活動」に対しての関心も強いのだとか。今後、この取り組みが他の地域にも広がったら素敵ですね。

Tibbo-Piの導入を検討されている方は、下記から導入事例や商品案内がダウンロードできます。

「スピーディに」「コストを抑えて」「アイデアを形にするための検証を行う」という、新規事業のための事業検証(PoC)や、費用対効果を意識したスマートファクトリー化、そして業務効率化や生産性の向上にご興味がある方にも参考になる情報になると思います。

ぜひご一読ください。

顧問の白田さんが開発した新システムについての記事もぜひ、ご覧ください。

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